初代ウォークマンのネーミングとコンセプト。

今回のプロジェクトは、SKIP HOUSE SEAL そして PIT HOUSE MOLEとネーミングしています。SEALシールとはアシカのことで、MOLEモールとはモグラのことです。

どうしてそのネーミングになったのか ? の前に、ネーミングとコンセプトの大切さをご案内します。

ウォークマンのことです・・・(ソニーデザインより)
こちらは初代ウォークマンで1979年にデビューしたものです。
私はこれがソニー魂の象徴だと思います。

この当時私は高校生でした。県外の大学生だった兄が帰省した時、聴かせてもらった衝撃は今でも胸を離れません。

当時、外で音楽を聴く習慣がない時代に、なぜウォークマンが世に出ることになったのか ?
私の大好きなエピソードをお話しします。

SONYの創業者は、皆様もご存じの盛田さんと井深さんです。
井深さんが出張する際、肩にかけた小さなテープレコーダーとヘッドホンを持っているのを盛田さんが見つけました。

聞けば出張の際、機内で音質の高い音楽が聴きたいので部下に命じて作らせたといいます。盛田さんはそのカセットを聞いて音質の高さにびっくりしました。

技術系の井深さん、営業系の盛田さん。盛田さんはピンときてこれをもっと小さくして売り出そうと言い出します。ソニーの中でも需要があるわけないと反対されますが、確信のあった盛田さんは開発を命じます。

盛田さんが命じた内容は、歩きながら音楽を楽しめる大きさ、そして売り出す価格を学生が1か月アルバイトすれば買える価格(33,000円で発売される)と要求しました。

大きさと価格の要求は開発スタッフを苦しめましたが、やがて成功します。

この価格コンセプトは、開発にかかった費用から割り出したわけではなく、ターゲットをしっかり見据えていたというところです。歩きながら音楽を楽しもうというトータルコンセプトは「ウォークマン」という和製英語のユニークなネーミングで世界を駆け巡るようになります。

私の兄もアルバイトで初代ウォークマンを手に入れました。
私が大学生になったときは、もう既に公共の乗り物や街で良くヘッドホンをした若者を見かけました。(若者の新しいライフスタイルを生み出したと言えます。)大学生になって最初に帰省した時、私もウォークマンをつけていました。

その時の楽曲は、50歳超えの今でも思い出されます。
この辺りが作り手とのふれあいなんだと思います。当時の私にとってウォークマンは音楽を聴く道具(モノ)ではなく、人生を豊かにしてくれるコトでした。

商品のネーミングやコンセプトは、作り手の魂が宿り輝くものだと思います。私は商品開発に迷いだすといつもこのエピソードを思い出し自分を勇気づけています。

次回はSEALとMOLEのネーミングについてお話しいたします。
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