不正は見抜けない ?

現在は全ての新築工事で地盤調査が行われています。SKIPもPITもありがたいことに地盤改良は必要ありませんでした。

こちらは住宅産業新聞の記事です。
地盤調査や補強工事に関してデータを現場からウェブ上にアップすることで改ざんを防止するシステムを構築するというもの。

杭打ちデータの改ざんや調査データの流用が問題になったので、現場作業人・調査会社・保証会社等がウェブサイトで情報共有することで防ごうという取り組みですね。

こういった事件がおこる度に「なぜ、見抜けなかったのか ? 」という話が出てきます。意図的に改ざんや流用する場合、見抜くのは難しいケースがあると思います。

ミスなら発見しやすいでしょうが・・・

マンションの傾きによって判明した杭打ちの改ざん事件は、大手建設会社の下請け会社が悪いんだという発言まで飛び出して後に謝罪会見を開いていました。
マンションの住民は、大手だから安心して購入したんだと憤っています。まさか、この会社が・・・と。

燃費のデータ改ざんも現在問題となっています。これもまた燃費がいいと思って購入したんだとユーザーは落胆しています。

なぜ、見抜けなかったのか?  ではなく、なぜ、改ざんするのか?
だと思います。

作業人や技術者・担当者レベルでそんな改ざんするでしょうか? 何の得になるのでしょうか。大手メーカーでみられたように歴代の経営者だけが問題なのでしょうか。なんのため???

利益のためだけに大手企業としての信用や信頼が失墜してまで実務者や経営幹部がそんな指示するでしょうか。

すいません・・・完全な持論ですが「物言う株主」の存在が影響していないでしょうか?
上場会社に多いと思いませんか ?

利益が出れば株は上がります、不正が発覚すればストップ安、いずれにしても事前に判っていれば莫大な富が転がり込みます。
1929年の米国市場の暴落から始まった世界恐慌でも莫大な利益を上げたグループがありますからね。

株主の一部には企業の成長ではなく、マネーゲームとして捉えているグループがあります。日本の大企業は、これらのグループに翻弄されているように見えてしかたないのですが・・・

個人の倫理観が低下しているというより、そちらの方があやしいと思いませんか。皆さんは、どうお考えですか。。。

マイナス金利でデフレ脱却 ?

マイナス金利が導入されてしばらく経ちましたが、皆さんの金利の方はどうでしょう。下がりましたか ?

マイナス金利とは日銀の政策であります。現在、日銀には民間銀行から当座預金・準備預金などの名目で250兆円ほど残高があるらしいのです。現黒田総裁になってから50兆円⇒250兆円に積み上がったとか。そのうちの220兆円は0.1%の利息を日銀が銀行に支払っているといわれています。

220兆円の0.1%は2200億円だそうです。日頃使わない桁なのでピンときませんが・・・つまり民間銀行は極限の低リスクで2200億円を受け取っているということでしょうか。

マイナス金利とは、これらをマイナスにするのではなく・・・この上さらに積み上がった残高にだけマイナス0.1%を適用するのだそうです。

そうすると、当然民間銀行はもう日銀に残高を積み上げるのをやめます。余剰資金が世間に出まわれば投資が増えデフレ脱却というシナリオというのですが・・・ホンマでっか???

実際には予想通り民間銀行は国債を購入してしまい10年国債の利息は0.05%と過去最低金利となったそうです。

ではなぜ企業等への融資が増えないのでしょうか???日本の人口が減少に転じたので国内投資に企業が消極的だからでしょうか?
(ホリエモンは人口は減らないと言っていますが・・・)

識者の方々が様々な委員会を立ち上げ実行しても、なぜデフレにいくのでしょうかねぇー。

このデフレの原因ですが、私個人的な考えですけれども格差社会のはじまりと捉えています。低所得世帯が増えたため消費動向が変化しているのではないでしょうか。安いものほどいいという根本的な消費動向が根付いている思います。

例えば280円の牛丼と300円の牛丼を比べて300円の牛丼のほうが好みだとしても280円の牛丼を食べるとか。私なら300円の好みの方の牛丼を食べます。しかし、これが280円と400円ではどうでしょうか。まだ400円を食べます。500円ならどう ? 280円にするかな。。。人それぞれここの価格差が違うと思いますが。

280円の牛丼で商売が成り立てば問題ないのですが・・・

ブラック企業というワードが出て儲かっていると思われた企業の裏のからくりがあぶりだされるケースがあります。ほとんどの場合、人件費の削減によるひずみだと思います。ホントは儲かっていないので人件費に予算をさけないということですかね。

400円なら人件費も潤沢に用意できるとしてもライバル企業が280円に値下げした時、400円でも惹きつけるだけの魅力があるのかが問われます。はたまた魅力があっても400円なら消費者のふところ事情から言って回数が減ってしまい売上減少とならないでしょうか。

私が約30年注文住宅に携わってきて最近大きく変わったと感じることがあります。建築主の低年齢化と世帯年収です。以前の住宅ローンは25年で長い方、現在では35年ローンが主流、40年というのもあります。

そして世帯年収というワード。つまり一人の所得ではなく共働きで合算した世帯年収で長期ローンを組んでいます。所得が低下したので夫婦合算でローンを長く組むケースが増えているということです。

もう一つの特徴は40歳代の建築主が減りました。住宅ローンは、まだまだ組める年齢ですが、子育てに莫大な費用がかかり生活が苦しい世帯が増えたとみています。

もう既にピケティーさんのいう格差社会は広まっているのではないでしょうか。見た目にはすぐわからない貧困がはびこり始めていて消費動向を変えていると思います。これに派遣・契約社員などが拍車をかけて格差を広げていくのではないでしょうか。

つまり、金融政策だけではデフレ解消とならない気がします。

グローバル経済では国内に限れば格差が拡大するかもしれないが、地球全体で見れば貧富は縮まっているとか・・・

このままデフレが続いて気がかりなのは、今の若い世代が強いられている派遣・契約社員制度です。彼らの将来を思うとき、この制度は再考する必要があるのではないかと考えます。

格差社会の是正政策を金融政策に並行していけばデフレ経済も変わるでしょうか。皆さんはどう感じられていますか。。。

柱や梁の種類が耐震にも影響するのか。

木造の耐震についてお話してきましたが、鉄筋コンクリート造・鉄骨造も同様に規定が改正なっていますので、マンションの1棟売りなどでは旧耐震と新耐震では価格に影響しているでしょう。

昭和56年以前を旧耐震、それ以降を新耐震と呼んでいるようですが、前回書きましたように2000年の改正が大きいと申し上げました。このことは徳島県知事も言われていたようでした、すいません。。。

で、木造に戻りますが・・・木造は柱と梁で組まれています。その種類と耐震との関係について述べていきますね。(杉やヒノキの樹種に関してはまた後程。)

まずは、無垢材か集成材かに分かれます。さらに無垢材はグリーン材と乾燥材に分かれます。無垢材を機械で乾燥させるとKD材、つまり乾燥材になります。自然乾燥のみの乾燥材とは区別してください。

無垢材を自然乾燥させると良いのですが、手間と時間がかかるため機械で乾燥させることが多いです。強制的に乾燥させると木の持つ繊維が破壊されやすく、ねばりがなくなります。その反面、収縮やねじれが少なくなり床なり等などの不具合は減ります。

無垢材をそのままグリーン材として使用すれば強度は問題ありませんが、収縮やねじれが完成したあとも出やすくなります。結果、床の不陸や壁にひびなどが生ずることもあります。このことは耐震に大きく影響していないと思います。むしろ建てた時の仕口と金物の関係でしょうね。

建てたあとのクレームを少なくするにはKD材ということになりますが、強度はグリーン材があるのではないかということになります。

また集成材といって一旦乾燥させて平板にしたあと強度がでるよう貼り合わせたものもあります。収縮などの狂いがほとんどなく強度も製品として均一化されています。ハウスメーカー・FCメーカー・中堅ビルダーなどはほとんど集成材を使用します。
私も使用していましたが、シニア世代には貼物と言われ不人気なこともありました(笑)強度は信頼できると考えています。

無垢材のほうが粘り強いのですが、1本1本バラつきがあるので、構造計算などが必要なときなどは集成材を使うケースが多いです。

法的には、この手の種類で耐震性に直接大きく影響するとは考えていないようです。

私が感じるのは・・・KD材は機械乾燥させるため、地震時のねばりがどうかということ。集成材は精度がほとんど変わらないという特性から長期に渡って新築時の耐震性が保持される。グリーン材は強度・ねばりがあるが、一定程度乾燥させないといけない。

土台・柱・梁、そしてその他の補足材も含めて特性を熟知したうえで適材適所に努めるのがいいと思います。         

耐震基準の変遷。

耐震基準は昭和25年に施工された建築基準法の規定であり、大地震に見舞われるたびに改正しています。

では旧耐震といわれている昭和56年以前はどうだったのか ?

筋交いが収められている耐力壁の量が少なく、配置バランスを考慮していない可能性がある。基礎が無筋の場合が多くみられ柱や梁の接合部が弱い。

基準が低かったためこのような可能性があるということです。もちろん、しっかり建てられた建築物も多数あります。

昭和56年の改正により、耐力壁の量や仕様が現行基準へと見直されます。このあと検査などが厳格化されはじめ接合金物も年々使用頻度が高まっていきました。


しかし、そのあとの平成12年に柱や梁等の接合部が明確化され耐力壁の計算に配置バランスが適用されます。
さらに、地盤調査が義務化されて地耐力に応じた基礎構造が規定されました。

具体的にSKIP HOUSE の写真をご覧ください。
大きく変わった一つにホールダウン金物があります。

 基礎に埋め込まれるホールダウン金物です。大地震の際、柱が抜けないよう基礎と柱を直接接合します。基礎のT字型の重要な場所などに深く埋め込まれます。隣に見えるのが基礎と土台を接合する通常のアンカーボルトです。

基礎が完成するとこんな感じに見えます。
 土台から突き出ているのが良く解ります。
これが緊結されている写真です。
アップします、隣の筋交いの金物等も規定になりました。

そして建築基準法を上回る長期優良住宅法が平成21年に施工されます。耐震性だけでなく断熱性や可変性など様々な項目に明確な規定があります。

その中で耐震性にかかわるもっとも重要な規定が剛床構造です。剛床=ごうしょう。水平方向のねじれを防ぐ剛床は筋交いという耐力壁と併用することで高い効果が期待できます。

建築プロセスの中にも出てまいりますが、こちらを参照くださいませ。

ブログ参照 : 木造アパートの弱点を克服。

耐震改修するほうが、しないのより安全性は高まります。だけど完全に安全とは違いますよね。もっといえば完全に安全な建物などないというのがホントですか。

個別にある状況の中で今できる耐震を高めつつ、これで安全と思わないことこそが被害を少しでも小さくするのではないでしょうか。

耐震基準の本質。

旧耐震基準は危険で新耐震基準が安全という単純なことでないことは前回お話ししました。もう少し詳しくご案内しますね。

ここでいう耐震基準とは「建築基準法」の中の規定であります。

ウィキペディアによると・・・
建築基準法は、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低基準を定めた、日本の法律である。

最低基準とあります。その理由は・・・
建築基準法というものは自由に建築を行う私人の権利を公権力によって制限しまたは規制して社会の秩序を保とうとする性格を持つ法律であるから、その制限については憲法13条に基づき、必要最小限のものでなければならないという理念からである。(これまたウィキペディアより)

国家としてある程度の秩序を保つのが目的だということですね。

なのでこのような注釈があります・・・
建築主、設計者、施行者にとっては、この基準が確保されることは勿論、可能の範囲において基準以上に建築物の質の向上が図られることが望ましい。(正に本質ですよね。)
日本建築学会、建築基準法令解説 昭和25年11月(1950年)

このことから旧耐震でも高耐震建物は存在するし、新耐震だから安心ということではないのです。

今日のニュースで徳島県の耐震化率は全国平均より5ポイント劣るといっていました。だから耐震診断⇒耐震改修を促進しますと。

耐震化という純粋な物理ではなく、行政の在り方や政治的な動きなどと混合されているのですよね。

この耐震改修ですが、旧耐震という昭和56年以前に建てられた建物がメインになっています。昭和56年に前回説明しました耐力壁の見直し等がされているからでしょう。

私は平成元年から建築に携わっているのですが、平成12年の大改正の方が印象的です。

つまり正確に言えば①昭和56年以前②昭和56年~平成12年まで③平成12年以降と3段階に大改正していると思います。

改正のたびに耐震性は高まり、現在では長期優良住宅という建築基準法の耐震基準を上回る耐震基準も設定されています。

明日は昭和56年になんの改正があったのか ? また、平成12年にさらに追加されたものは・・・
そして長期優良住宅にするための規定はなにか ?

???の詳細について触れていきますね。。。

耐震に大切なのはバランス。

NHKの番組・日曜討論で識者の方が「旧耐震は危険で新耐震が安全ということではなく、旧耐震の時代にも高耐震もあるし新耐震でも安全でない建物があります。」と言っておられました。

私もその通りだと思います。

行政機関が決める耐震基準には限界があります。耐震性をドンドン高めていけば経済に影響しますし、建物自体の形や立地の詳細までの規定づくりは不可能だからです。

国交省の方々は優秀な方々ですが、国民に広く普及する規定づくりが基本姿勢ですので限界があるのは当然だと思います。

つまり、その建物の設計者が耐震性の基本となります。で、もっと重要なことは図面で期待している効果が発揮できるよう施工業者・職人さんが忠実に施工しているか ? が問題です。

もちろん中間検査という行政機関や瑕疵保証期間の検査があります。目視でチェックできる不具合は是正されますが、施工基準みたいなところまではチェック機関も限界があります。

結論から言えば、耐震性の高い建物は、設計者+現場責任者+施工職人の連携で造られる。。。

あと・・・行政基準でいう高耐震性の他に大切なものとして、「バランス」というキーワードがあります。今回は木造住宅の耐震性として重要な耐力壁のバランスと直下率についてお話しします。

木造について前回お話ししました通り、在来工法では筋交いという斜めの部材を入れた場所を耐力壁と呼んでこれらを建物全体にバランスよく配置していきます。

こちらをご覧ください。
正面に斜めに取り付けられているのが筋交いです。この筋交いが収まった壁を耐力壁と定義します。SKIP&PIT HOUSE は柱が4m近くもあります。なので柱と柱の間隔を半間より広くして筋交いがより斜めになるよう工夫しています。
筋交いの足元はこのような金物で強固に緊結されます。
この耐力壁が建物全体に配置されるのですが、その時にバランスが大事になります。強い揺れに対して弱いところが崩壊してしまうからです。
上図面の蛍光ペンは耐力壁の位置を示しています。全体にバランスよく配置されていますね。

そして、もう一つ大切なのが、柱の直下率です。直下率とは2Fの柱の下に1Fの柱がある率をいいます。1Fと2Fの柱のバランスということです。上下揃っている方が、なんとなく考えても強いと思いますよね。


1F柱が規則的に並んでいますが、このすぐ上に柱があってさらにその上に屋根を支える束があれば強いということです。

ずれていれば数字上より弱いかもしれません。
安心してください・・・1Fと2Fが同じ間取りなので直下率はもの凄く高い訳です。こちらは2Fに柱を建てているところですが、1Fと同じところに建っています。
 私たちが戸建住宅を設計する時、間取りと同時に耐力壁の位置と柱の直下率を鑑みながら進めていきます。しかし、アパートの場合は1F2Fが同じ間取りで直下率はすでに完成しているわけです。

まとめますと・・・
高耐震の建物は設計者と現場責任者+施工職人の連携でしか完成しない。
数字にあらわされない耐力壁のバランスと柱の直下率が大きく影響する。

耐震~制震・免震とは。

私の創るおもしろ賃貸は木造です。
木造とはなにか ? 地震に対する備えはどんなものがあり、どのような効果があるのか。

全体像を掴んだ上で選択するということが大事なプロセスだと思いますので、昨日に引き続き耐震という地震に耐えることから、制震そして免震とはなんぞや???を・・・

地震エネルギーに対し伝統工法では対抗せずエネルギーを放出しますが、在来工法ではその特性に筋交いという部材で耐震性を高めたとお話ししました。

そして、制震とは地震を制御するということです。地震エネルギーをいくらか吸収して揺れを抑えるということです。

こちらをご覧ください。住友ゴムのミライエといいます。

地震エネルギーによって右に左に揺さぶられたとするとダンパーに挟まっているゴムがある程度吸収してくれるというものです。

筋交いという斜めの部材と併用することで大きな効果を発揮するそうです。つまり耐震+制震という考え方です。

大きな揺れを軽減するだけでなく、本震で傷んだ建物を長く続く余震から守る効果も期待できます。

私は長く戸建注文住宅に携わり、昨日のドリフトピンもこの制震ダンパーもオプションとして施主様におすすめしていましたが、ほとんど採用されませんでした。

一番の原因は価格ですが、実際のところ投資額に対してリアルに効果が解らないというのが現状だと思います。

さらに免震に進めましょう。(日本免震構造協会より)

地震エネルギーが建物に伝わらないよう工夫するのが免震構造です。下敷きの上にスマートボールを置いて下敷きを右に左に素早く動かしてもボールが落ちないようなしくみです(笑)

耐震、そして制震さらには免震という構造だけでも様々です。

木造ではこのほかにも筋交いの代わりに面材を建物の外回り全体に施すモノコック構造やSKIP HOUSE でも採用している剛床構造など組み合わせることによって効果を増大させていくやり方が一般的になっています。

耐震等級最高ランク・ドリフトピン工法・モノコック構造・制震ダンパー・免震構造などすべてを採用すれば投資額とのバランスが崩れますよね。

立派なビルに据えられた制震ゴムに規定違反があったという話や、地盤調査結果の流用により杭が強固な地盤まで届いていないなどの問題が一番危険だと考えます。

現在の耐震技術は相当進化しており、図面で表される強さをいかに現場で忠実・丁寧に施工することでリアルに得られるかが最も大切なのではと思います。

ブログ参照 : 木造アパートの弱点を克服
ブログ参照 : 耐震性を考慮したスキップフロア構造

木造住宅の耐震性について。

建物の地震に対する備えは、数多くの種類が見られます。

まず建物の構造によっても基本的な防衛の仕方が違います。
鉄筋コンクリート造や鉄骨造は「ラーメン構造」というのが一般的で柱と梁の接合部が剛接合されています。

剛接合とは、地震エネルギーに耐えられるよう柱と梁を動かんように強く引っ付けているということです。
(下図はウィキペディアより)
これに対して日本古来からの木造(伝統工法)は柔接合と申しましょうか。

ラーメン構造のように地震エネルギーに対抗するのではなく、柱と梁を組む際に仕口という接合部で木の特性を生かし柔軟かつ自然に揺れ動いてエネルギーを放出していく特性があります。

一口に木造と言っていますが、木造には大きく2種類あります。
西洋建築の影響を受けていない伝統工法と戦後発展してきた在来工法です。

在来工法(一般的に建てられている木造住宅)のことを木造軸組み工法ともいい、寺社・仏閣にみられる伝統工法の建築物とは全く違う構造になっています。

伝統工法による木造建築は日本が世界に誇る技術や技能力が結集されています。建てる職人さんも違っていて一般に建てられている木造建築物の大工さんとは「道」が違う宮大工が携わります。

簡単に伝統工法と在来工法の違いを説明します。

伝統工法では基本的に金物は使いません。木の特性を生かし木だけで組み上げます。柱や梁は太く樹種や木目なども考慮に入れ仕口という複雑な接合部も高度な技能力で組み上げます。
先ほど申しました通り、基本的に地震に対抗せず静かに揺れてエネルギーを放出します。

 
在来工法は伝統工法に比べ柱や梁が細く(伝統工法に比べると4寸でも細い・・・)簡単な仕口と金物で接合されています。ここで肝心要なのが筋交いというCのように斜めに据えられた部材です。地震エネルギーに対してはほとんどこの部材で対抗します。この場合建物の地震に対する強度はこの部材の全体に対するバランスと量いうことになります。


伝統工法がなぜ一般に普及しなかったのか ? 簡単です。高すぎるしそんな太い木はありませんし職人さんも少ないんです。

戦後復興する際、次々と住宅が新築されていくため開発されたのが在来工法なんです。この在来工法は年々進化を遂げて今では大地震に耐えられるよう様々な取り組みがなされています。

その一つがドリフトピン工法です。
 柱に出っ張った金物が取り付けられています。
 これに対し梁にへっこんだ金物が取り付けられ。。。
 その金物が合わさった穴にこのピンをたたっこむ工法です。
木と木の接合部は長く続く余震などで弱くなっていきますが、金物での接合なら度重なる揺れにも耐えられるという考えです。

このドリフトピンを採用しさらに集成材の大きな柱や梁を組み合わせた木造ラーメン構造というのも一部のハウスメーカーで販売されています。テレビCMで横綱が出てたヤツです。
しかし・・・たか~い(笑)

ここまでの話は耐震といいまして、地震エネルギーに対して対抗して耐えるというのが基本です。

しかし、現在の木造住宅の進化は凄いです。これらに対してさらに制震・免震というやり方があります。

では次回、制震と免震のお話を・・・

なぜ、熊本に地震が起こったのか?

ブログを休んでいる間に大地震が起きてしまいました。

地震により被災にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げるとともに、亡くなられた方やそのご家族にはお悔やみを申し上げます。

14日に地震があり一度非難された方が再び家に戻り15日の地震で犠牲になられたというニュースでさらに心を痛めています。

皆さんは、「地震の予知はできない」とはっきり断言するロバートゲラー博士をご存知でしょうか ?

東京大学大学院の教授であります。以前、「たかじんのそこまで言って委員会」というTV番組にたびたび出演されていました。
凄く興味深いお話でした。

この度、「さんまのホンマでっか」でおなじみの武田邦彦先生の『現代のコペルニクス』#87「なぜ、熊本に地震が起こったのか?」 にロバートゲラー博士がゲスト出演されています。

ユーチューブでご覧になれますので、ぜひ視聴してみてください。

現在までの大地震が首都直下型・東海・南海・東南海などの国が高確率を発表しているハザードマップがなぜことごとく外れるのか? を語ってくれています。

なんとなく私はこのお二人の話が本当のように思います・・・

そして、私は3代続いて木造軸組み工法での建築家系であります。木造の耐震性について、さらに現代では制震・免震というキーワードもございます。次回触れたいと思います。
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