耐震に大切なのはバランス。

NHKの番組・日曜討論で識者の方が「旧耐震は危険で新耐震が安全ということではなく、旧耐震の時代にも高耐震もあるし新耐震でも安全でない建物があります。」と言っておられました。

私もその通りだと思います。

行政機関が決める耐震基準には限界があります。耐震性をドンドン高めていけば経済に影響しますし、建物自体の形や立地の詳細までの規定づくりは不可能だからです。

国交省の方々は優秀な方々ですが、国民に広く普及する規定づくりが基本姿勢ですので限界があるのは当然だと思います。

つまり、その建物の設計者が耐震性の基本となります。で、もっと重要なことは図面で期待している効果が発揮できるよう施工業者・職人さんが忠実に施工しているか ? が問題です。

もちろん中間検査という行政機関や瑕疵保証期間の検査があります。目視でチェックできる不具合は是正されますが、施工基準みたいなところまではチェック機関も限界があります。

結論から言えば、耐震性の高い建物は、設計者+現場責任者+施工職人の連携で造られる。。。

あと・・・行政基準でいう高耐震性の他に大切なものとして、「バランス」というキーワードがあります。今回は木造住宅の耐震性として重要な耐力壁のバランスと直下率についてお話しします。

木造について前回お話ししました通り、在来工法では筋交いという斜めの部材を入れた場所を耐力壁と呼んでこれらを建物全体にバランスよく配置していきます。

こちらをご覧ください。
正面に斜めに取り付けられているのが筋交いです。この筋交いが収まった壁を耐力壁と定義します。SKIP&PIT HOUSE は柱が4m近くもあります。なので柱と柱の間隔を半間より広くして筋交いがより斜めになるよう工夫しています。
筋交いの足元はこのような金物で強固に緊結されます。
この耐力壁が建物全体に配置されるのですが、その時にバランスが大事になります。強い揺れに対して弱いところが崩壊してしまうからです。
上図面の蛍光ペンは耐力壁の位置を示しています。全体にバランスよく配置されていますね。

そして、もう一つ大切なのが、柱の直下率です。直下率とは2Fの柱の下に1Fの柱がある率をいいます。1Fと2Fの柱のバランスということです。上下揃っている方が、なんとなく考えても強いと思いますよね。


1F柱が規則的に並んでいますが、このすぐ上に柱があってさらにその上に屋根を支える束があれば強いということです。

ずれていれば数字上より弱いかもしれません。
安心してください・・・1Fと2Fが同じ間取りなので直下率はもの凄く高い訳です。こちらは2Fに柱を建てているところですが、1Fと同じところに建っています。
 私たちが戸建住宅を設計する時、間取りと同時に耐力壁の位置と柱の直下率を鑑みながら進めていきます。しかし、アパートの場合は1F2Fが同じ間取りで直下率はすでに完成しているわけです。

まとめますと・・・
高耐震の建物は設計者と現場責任者+施工職人の連携でしか完成しない。
数字にあらわされない耐力壁のバランスと柱の直下率が大きく影響する。
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